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子供に多い整形外科の病気と成長痛

「成長痛ですね」「成長期によくあります」などと病院で言われたことはありませんか?お子様の診察を受けにいった際に聞いたことのあるフレーズだと思います。成長痛と言われたら、モヤモヤ感があるものの何かしら納得する自分がいて・・と思いの方も多いでしょう。そのモヤモヤが少しでもスッキリするように当院では診察を行い、必要に応じて検査・治療をしています。

「成長痛」と「成長期のスポーツ障害」は違う

『成長期のスポーツ障害』は、ちゃんとした根拠のある病名であり、これらの疾患では説明のつかない先にたどり着くのが『成長痛』だと考えてください。

成長痛とは?

成長痛とは病名ではなく、『成長期にある小児の四肢(手足)の痛み』といった広い意味で使用されることが多いです。しかし、手足の痛み全てが成長痛ではなく、後述する様々な病気の可能性がないことがわかり、初めて『成長痛』と言えます。

【成長痛の特徴】

・夕方から夜間にかけて、膝を中心とした足を泣くほど痛がることがある

・特に太ももを痛がることが多い

・両足を痛がる

・痛みは週1、2回で断続的な痛みで、痛むときは30分〜2時間程痛みを訴える

・翌朝には症状が治っていることが多い

・幼稚園や小学校は普通に通学でき、体育とかもできる

【成長痛の原因】

エビデンスがあるものはなく現在でも原因は不明です。成長する骨自身の痛みやストレス、家庭環境などの心因性など様々な報告がありますが、はっきりとした原因はわかっていません。使いすぎることも一因としてありますが、成長痛を訴えるお子様は、甘えん坊であったり、親御さんや兄弟に成長痛の既往があるとの報告もあります。

【診断や治療法は?】

成長痛の診断は、痛む頻度や期間、痛む箇所や時間帯などを問診した上で成長痛以外の病気では説明できないことで、初めて「成長痛」と診断します。

特別な治療法はなく、痛み止めの内服やストレッチなどの対症療法となります。また一般的に愛護的な対応が効果のある場合が多いです。

愛護的な対応とは①痛いところをさすってあげる②湿布を貼ってあげる③温めたり冷やしてあげたりするなど、お子様が安心したり気持ちよくなったりすることをしてあげてください。

成長痛は、子供の成長とともに少なくなり、また後遺症を残したりはしないので、優しく対処してあげてください。しかし、「本当は成長痛ではない」のに「成長痛」として放置してしまうのが危険なことですので、お子様が足を痛がっている場合は、一度病院を受診してください。

成長期のスポーツ障害とは?

成長期のスポーツ障害は、成長痛とは明らかに違い、原因や症状があり、治療法も異なります。主な疾患を紹介します。

オスグット病(オスグッド・シュラッター病)
  • オズグット病とは?

成長期(主に10〜15歳)の子どもに多く見られる膝の障害で、脛骨粗面(けいこつそめん;すね骨の前部分のお皿に近い場所)の骨端症で、約30%は両足に症状が出ます。脛骨粗面の腫れと痛みがあり、押さえると痛みことがあります。

  • 原因は?

スポーツなどで膝を曲げ伸ばしすることの繰り返しで、脛骨粗面に過剰なストレスがかかり、成長軟骨部が剥離することで生じます。

  • 必要な検査

単純レントゲン検査を行い、脛骨粗面の骨の状態などを確認します。

  • 治療は?

①安静と②ストレッチが主な治療になります。痛みが強く、脛骨粗面の症状が著明である場合は、スポーツの休息も必要です。また正座などの刺激が加わる動作も控える必要があります。安静期間は原則痛みがなくなるまでで平均して1−2ヶ月かかりますが、スポーツ競技の継続が必要な場合は、膝のサポーターなどを装着します。またスポーツ前後にはストレッチを入念に行い、スポーツ後にはアイシングをします。

  • 後遺症は残るの?

痛みがあるのに我慢して放置してしまうと、大人になってから運動時や運動後に痛みが出るなどの後遺症が残る可能性もあります。

有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)
  • 有痛性外脛骨とは?

10〜15歳の思春期に多い足首の内側の痛みが出る骨端症です。両足に症状が出ることが多いです。

  • どんな症状?

足首内側の骨の出っ張りを認め、出っ張り部を押さえると痛みがあります。普段痛みはありませんが、捻挫などの外傷やスポーツによる運動負荷の増加により痛みが出てきます。

  • 必要な検査は?

単純レントゲン検査を行い診断します。

  • 治療は?

①一時的な安静や②運動制限で症状が軽快するため、まずは現在しているスポーツの休憩をし、痛み止めや湿布で経過を診ます。痛みが続く場合は、足底板(インソール)の挿入を考慮します。もしこれらの治療で改善が得られない場合は、必要に応じて手術を検討します。手術に関しては、当院の関連病院へ紹介し手術を受けて頂きます。手術後のリハビリテーションに関しては、引き続き当院で受けて頂くことができます。

シーバー病
  • シーバー病って?

踵(かかと)部分の骨端症で、男の子に多く、10歳前後の学童期に好発する病気です。原因はアキレス腱の牽引力が慢性的に踵に加わることで生じます。陸上競技、サッカー、剣道をする子に多いです。

  • 症状は?

踵の後ろ部分や踵裏部分に痛みがあり、押さえると痛みます。特に運動時に痛みが増強することが多く、痛みのため、つま先歩きになることもあります。

  • 必要な検査は?

踵の単純レントゲン撮影を行って診断します。もし踵骨に骨硬化像や分節化があればシーバー病との診断となります。しかし、正常な場合でも骨硬化像を認める場合もあるため、症状を照らし合わせて診断します。

  • 治療は?

今現在しているスポーツ(体育など含め)を中止し経過を診ます。平均約1ヶ月程度の休息で症状は軽快します。その後、症状を診ながらスポーツ復帰の時期を決めていきます。しかし痛みが強く続く場合には、足底版(インソール)の使用も考慮します。成長期において再発することもあり、定期的に診察が必要となります。

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