肩こり、首筋・肩甲部・背中の痛み
「肩甲部」とは、首筋から肩甲骨にかけての比較的広い範囲のことを指します。いわゆる肩こりを感じる部分に相応します。
※「肩こり」は病名ではなく症状の名称です。
「肩こり」は実は首からの痛みで起こります。
「肩がこる」「首がこる」「背中がこる」といった症状は、首の病気に起因している場合がほとんどです。
中でも患者さんの多くがお悩み
- 肩がこる/痛む
- 首(うなじ)がこる/痛む
- 背中がこる/痛む
- 上肢が痛む/しびれる
といった症状はまさに首から来ている症状そのものにあたります。
その他、指先がしびれるといった症状も首が起因するケースは多いものです。
肩こり、首筋・肩甲部・背中の痛みQ&A
Q.何が原因なの?
A.ほとんどの場合、首(頚椎)の椎間板や脊髄の病気によるものです。
首の中には脊髄という神経があり、そこから枝分かれして首や肩や腕に分布します。それぞれが支配するエリアに症状が表れます。痛みとしびれはまさに首から由来する特徴的な症状です。
Q.痛みの種類はどのようなものですか?
A.我慢できる程度の軽度のものから、夜も眠れないほどの激痛に苦しまれる方までさまざまです。
- 寝返りがうてない
- 横になれない
- 特定の方向に向くと痛い
- 一定の方向に力をかけると痛い
- 背中や腕に激痛が走る
- 手のひらを握ったり開いたりすることが難しい
- 字が書きにくい
- 手がしびれ感覚がなくなる
といった症状まで多岐に渡ります。
初期の段階ほど病気としての認識が乏しいため、お忙しい方ほど我慢しがちになり、生活に支障が出るレベルにまで悪化し初めて病院へ駆け込まれるといったケースは珍しいことではありません。慢性化すると睡眠障害やうつ症状などを引き起こす可能性もあります。自己流のマッサージなどで一時的にやり過ごすことばかり優先せず、正しい診察と治療を受けることが根本的解決のための大きな一歩となります。ぜひ一度、お気軽にご相談いただければと思います。
Q.どうやって診断するの?
A.診察に加え、必要に応じて首(頚椎)のレントゲンやMRI画像を用いて診断いたします。
他の病気が隠れていないかもあわせて適切な判断を行うことが重要です。画像診断を加えることでより精緻な診断が可能となります。また、診察では職業や年齢による影響、普段の姿勢、首の形なども特に重視して診察を行っています。疲労の蓄積、ストレス、負担のかかる無理な姿勢なども痛みの要因には大きく関係しています。
また、治療の経過状態を正しく把握するため、当院では定期的にレントゲンやMRI撮影も合わせて行っています。患者さんには客観的データを積み上げ、以前に比べての改善状況を詳しくご理解いただけるメリットがあるとともに、納得度の高い診療を心がけています。患者さんからのご質問にも丁寧にお応えできるようスタッフ一同努めています。
Q.どういう病気が考えられるの?
A.頚椎症・首のヘルニア等の整形外科的領域から内科系疾患まで、首の病は可能性が広がる場合もあります。
実際の診療現場で多くみられる病の例は
頚椎症(ケイツイショウ)
首の骨が変形して刺激を起こします。患者さんの数としてはとても多いです。
頚椎椎間板ヘルニア
首の椎間板が飛び出すことで症状が出ます。20~30代の若い患者さんが多いです。
頚肩腕症候群(ケイケンワンショウコウグン)
普段からの姿勢の悪さ・ストレートネック・首の歪みなども含みます。
頚椎圧迫骨折(ケイツイアッパクコッセツ)
転倒やスポーツ、怪我からくる場合があります。
腫瘍
まれではありますが、首や頚椎や脊髄へ腫瘍ができる場合があります。原発性のものもありますし、転移も考えられます。これは画像診断を行わなければわからない症状です。腫瘍の場合はやみくもなマッサージ等は禁物です。
軟部組織による疾患
甲状腺の腫れや喉などの首周りの組織に起因して発する痛みがあります。
その他
緑内障や眼精疲労といった目の病気やメガネの不調、上咽頭炎などの耳鼻科系疾患や高血圧や狭心症、メニエール病といった内科系疾患などから痛みが発生するケースもあります。他にも顎関節症、咬合不全、心身症などといった病が隠れている場合もあります。
整形外科的領域外の病気が隠れている場合も考えられますので、いずれにしてもまずは医師による正しい診断をすることが重要となります。放置するほどひどく苦しまれることにも繋がりますので、まずは診察にお越しいただければと思います。
どういう治療をするの?
A.投薬や物理療法をはじめ、当院ではリハビリテーションのスペシャリストである理学療法士が患者さん一人一人に適した運動療法をご提案し、最良の治療を目指します。スピード感を持ち、治療することを心がけています。
薬の処方
湿布や飲み薬なども合わせて処方いたします。
物理療法
頚椎を牽引するような治療で約10分、電気をあてる治療で約10分といった単位を目安に行います。
理学療法士によるリハビリテーション
20分の単位制です。患者さんにマンツーマンで適切な運動療法を行います。医師とタッグを組むことで治療内容も濃く、患者さんには専門性高い効果的な機能回復訓練を提供できるだけでなく、安全性も非常に高く安心です。患者さんにとっては症状の著しい改善を期待できます。特に肩の障害には運動器リハビリテーションで積極的に治療を行います。
例えば
頚椎症の治療の場合
首を引っ張ったり温めたり、電気を流すなどの物理療法を用いて治療します。
また当院の理学療法士が患者さん一人一人に適した肩の運動や首の運動のプログラムを提案し、短時間で効果的なトレーニングを行います。ご自宅でもできるよう、わかりやすい指導に努めています。物理療法と運動療法の両者を組み合わせることにより、患者さんにとっての最良の治療をご提案します。
一般的な肩こりに関して言えば、一週間で改善される方もいますし、ほとんどの方は一ケ月もすれば痛みも取り除かれ、確かな回復を実感していらっしゃいます。姿勢の修正やストレス、冷えなどに起因する肩こりに関しては早期の改善も見込めます。
治療においてもっとも重要なことは、適切な治療を行えるように早期に正しい診断を行うこと
当院には理学療法士も常駐していますので、患者さんの治療やリハビリにおいて専門性高いさまざまな治療法をご提案できます。患者さん一人一人に丁寧に寄り添い、早期の症状の改善や機能回復のサポートに努めています。正しい治療を続ければ症状は改善します。当院は客観的データを用いた正しい診断・治療をご提供することをモットーとしています。
リハビリテーションとは
整形外科の現場で良く使われている「リハビリ」という言葉。みなさんどのように捉えられているでしょうか。脳梗塞のリハビリや整形外科でも上肢の麻痺や下肢の麻痺、外傷で歩行ができない患者さんができるようになるための“訓練”といった重い病状からの改善のイメージはもちろんのこと、整形外科で用いる「リハビリ」とは体操指導のようなとても軽いトレーニングまで含みます。ご自宅に帰られてからも再現できる動きなどは、わかりやすく丁寧にご説明させていただいています。