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手の痛み

デュケルバン病

デュケルバン病とは

親指を動かす腱(①長母指外転筋腱②短母指伸筋腱)や、その2本の腱を覆う腱鞘が炎症を起こし、痛みが出る病気です。

原因は?

日常生活動作や仕事で、手首や親指を繰り返し使うことにより、親指を動かす腱(①長母指外転筋腱②短母指伸筋腱)腱と腱鞘に滑走障害が起き炎症が起こります。他には女性ホルモンの影響による組織の浮腫(むくみ)と授乳期の女性では繰り返し乳児を抱き上げる動作(親指の使いすぎ)が原因とされています。

症状はどんなものがある?

症状としては、親指を広げたり、力を入れたりする際に痛みが出たり、物を持った際に手首の親指側に痛みが出ます。

ご自身でのcheck point!

この病気のご自身でできるチェックテストとして、フィンケルシュタインテスト(親指を手のひら側に曲げグーをして手首を小指側に傾けると痛みが誘発されるテスト)があります。一度、ご自身でも試してみて下さい。

治療

治療は保存的加療と手術加療があります。

保存的加療としては、非ステロイド性鎮痛薬の内服・外用、装具などの固定やステロイドの腱鞘内注射があり、多くの患者さんが保存的加療で軽快します。ステロイド注射は、痛みが強い場合や、装具や内服で症状が軽快しない場合に行い、1回の注射の有効率は70-90%程度です。しかし、全体の約1割の患者さんは保存的加療では治らず、手術適応となります。手術は局所麻酔下で行われ、腱鞘を切開する手術を行います。手術適応と判断した場合は、関連機関へ御紹介させて頂き手術後の加療を引き続き当院で行います。

ばね指・狭窄性腱鞘炎

ばね指・狭窄性腱鞘炎とは

ばね指とは、手指が曲がった状態で固まり、伸ばそうとすると突然跳ね返る状態で、狭窄性腱鞘炎における症状の一つです。狭窄性腱鞘炎とは、腱と腱鞘のサイズのミスマッチによって生じる腱の滑走障害で、繰り返しの指の動作で、「炎症」が起きた状態です。40歳〜50歳代に多く発症し、男性より女性に多い疾患です。

症状は?

指を曲げた状態から伸ばす時にバネのような現象を認めます。その際に、痛みを伴う場合もあり指の掌側を押さえると痛みこともあります。重症例では、一旦指を曲げると自然に伸ばすことができず、引っかかってしまうロッキング現象が起きます。

原因は?

原因は、機械的な刺激などで腱鞘の肥厚が生じ、腱鞘内腔の狭窄をきたすことで発症します。また糖尿病や手根管症候群などの疾患に併発することもあります。

診断や検査は?

医師による問診や触診を行い、指の腫れや痛み、ばね現象の有無などの症状を確認することで診断します。

治療法は?

治療は、大きく分けて「保存的加療」と「手術療法」があります。

保存的加療には、消炎鎮痛剤などの内服と局所の安静を図る他、炎症を起こしている腱、腱周囲の滑膜を鎮静化させるためにステロイド注射を行います。その他にも女性ホルモンが関係しているので女性ホルモンに似た作用のある大豆イソフラボンを摂取することをおすすめします。保存的加療で効果が乏しい場合は、手術をご提案します。手術加療は、局所麻酔で行われ肥厚した腱鞘を切開する方法がああります。

へバーデン結節

へバーデン結節とは

40歳以上の女性に多く発生する手指のDIP関節(第一関節)に生じる変形性手指関節症です。

どのような症状?

DIP関節(第一関節)の腫れと痛みがあり、放置すると指が曲がってきたりもします。

原因は?

現時点では、原因は不明とされていますが、リスクファクターとしては、40歳代以降、女性、家族歴(母や祖母がへバーデン結節を持っている)、肥満、機械的ストレスなどがあります。

診断方法は?

診断は、問診及び触診とレントゲン検査により診断します。問診・触診では、①物をつまむ・握る動作で痛みがないか②指のDIP関節(第一関節)の腫れたり、赤くなったりしていないかを確認させて頂きます。レントゲン検査では関節の隙間が狭くなっていないか、亜脱臼の有無、骨のとげの有無を確認させて頂きます。

治療は?

一昔前は、「年齢だから放っておくしかない」と言われていましたが、放置するとほぼ全例悪化します。

その為、悪化しないようにするために、痛い指の周りにテーピングを行います。疼痛や腫脹が強い場合には非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を使用しますが、長期間に及ぶ内服では副作用も出現することから、長期投与はおすすめしていません。最近の研究では、閉経前後のエストロゲンの減少とともに、組織の変性が起こってくる結果が原因の1つ考えられているため、女性ホルモン様作用のある大豆イソフラボンのサプリメントをおすすめしています。そのサプリメントは3ヶ月の投与で約6割の患者さんで疼痛の改善や機能改善が得られています。保存的加療で治らない場合は手術加療(関節固定術)が行われます。手術適応の場合は、関連病院へご紹介致します。

母指CM関節症

母指CM関節症とは

親指の付け根にある関節を母指CM関節といい、第1中手骨と大菱形骨という骨の間の関節を指します。この関節は、親指と他の指とで物をつまむ動作をする際に重要な関節です。使いすぎや加齢に伴い、この関節の軟骨が摩耗し痛みや変形を伴う病気を母指CM関節症といいます。

どのような症状?

ペットボトルやビンの蓋を開ける際やものを握ったりする動作の際に痛みがあり、親指が外側に開きにくい感じが出ることもあります。病気が進行すると母指CM関節周辺に腫れが出ることもあります。

どのような人がなりやすいの?

肥満や機械的なストレス、職業上繰り返しの単純作業があり、遺伝的な要素も少なからずあるとされています。40歳以降の女性に多く、年齢とともに有病率が高くなります。

診断方法は?

問診や触診、単純レントゲン写真で行い診断しますが、単純レントゲン写真の重症度と患者さんの訴えが一致しないことも多くあります。

治療法は?

治療は、まず保存的加療を行います。保存的加療には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や外用、装具療法、ステロイドの関節内注射があります。装具療法は、欧州リウマチ学会や米国リウマチ学会のガイドラインでも推奨されており、変形の矯正・予防効果に有効とされています。ステロイド注射は、痛みや腫れなどの症状が強い際に行います。保存的加療で治らない場合に手術療法が選択され、関節形成術や靭帯再建術、関節固定術が行われます。手術適応と判断した場合は、関連病院へ紹介させて頂きます。

 

 

 

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