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しびれ

痛みやしびれは患者さんご本人にしか感じられない主観的な症状です。人により個人差が非常に大きく、また部位によっても神経障害や血行障害などといった要因が複雑に絡み合って起きるものです。特にしびれの原因は整形外科領域外の問題も多いため、早期発見・早期治療が重要となります。

Q.どういう病気が考えられるの?

手のしびれ

手のひらや指先、腕など上肢に感じるしびれは原因が複雑に分岐しています。主な原因としては首(頸椎)に関する病が考えられます。

頚椎症性神経根症(ケイツイショウセイシンケイコンショウ)

頸椎骨周辺に過剰にできるトゲ状の骨や頸椎の変形により、神経や脊髄などが圧迫される病気です。肩や腕や手指にしびれが出ます。腕や背中にかけて激しく痛むことがあります。首が動かせなくなったり、腕の筋力低下や握力低下もあります。頚椎症性神経根症で悩む患者さんの数は非常に多いものです。

頸椎後縦靭帯骨化症(ケイツイコウジュウジンタイコッカショウ)

頚椎の後方に位置する後縦靭帯が骨化し、脊髄が圧迫されることで起きる障害です。感覚神経や運動神経、自律神経に悪影響を与えます。特に肩周りや指先に感覚障害が現れることがあります。

胸郭出口症候群(キョウカクデグチショウコウグン)

脊椎と脊髄から枝分かれした神経が、胸郭の上端から首下へと繋がるあたりの末梢神経トラブルです。鎖骨の凹み部分には神経の束のようなものがあり、そこが圧迫されるとしびれを起こします。頸肋(ケイロク)と呼ばれる脊椎から出た肋骨の遺残した骨の構造上の問題からしびれが生じる方もいらっしゃいます。また、体型によっても鎖骨下のスペースが狭い方、なで肩で首が長い方、重いものを持ち運ぶ労働者の方たちにみられます。

橈骨神経麻痺(トウコツシンケイマヒ)

ちょうど腕枕をする部分には橈骨神経が走っています。そこが刺激されると上腕から手の甲にかけての部分がしびれ、手の甲が上向きに上がらなくなったりします。例えば、酔っぱらってソファで長時間同じ姿勢をして寝るなど、橈骨神経を強く圧迫した状態でいるとしびれを生じます。しびれが取れるまで1ケ月以上かかることも珍しくありません。

肘部管症候群(チュウブカンショウコウグン)

尺骨神経麻痺(シャッコツシンケイマヒ)とも呼ばれ、手の薬指と小指がしびれて伸びなくなる麻痺です。例えば変形性のひじ関節症をお持ちの方、ひじの内側を酷使するような仕事や運動をされている方などがなりやすい病気です。治療には手術が必要となるケースも多いです。

手根管症候群(シュコンカンショウコウグン)

手のひら側の手首のほぼ中央部には正中神経が通っています。そこが圧迫されると、親指・示指・中指の全体と、薬指の半分がしびれます。手をブラブラと振ると一時的にしびれが解消されるような感覚がありますが、しばらくするとまたしびれ始めるのが特徴的です。中年の女性に多くみられ、長時間の編み物や手を突くような動作を頻繁に繰り返すと発症しやすいです。悪化すると小さなものが指でつまみにくくなったり、指先の感覚が鈍くなったり、親指のつけ根(母指球)が痩せてくるなどの症状が出ます。ひどい場合には手術が必要となります。

下半身のしびれ

足先から股関節までの下半身に生じるしびれも複雑に分岐しています。ヘルニアやすべり症といった腰に起因するものも多い一方、腫瘍によるしびれの可能性も高いです。放置すると歩行困難になる可能性があるので注意すべきしびれです。

腓骨神経麻痺(ヒコツシンケイマヒ)

ひざの裏側や外側にある少し出っ張った骨(腓骨頭)が圧迫される際に起きるしびれです。ひざから下の足の外側や甲にしびれを感じます。悪化すると足の甲や足首が上に上がらなくなるだけでなく、上手く歩けない状態に陥ります。膝周辺の外傷のあとや、寝たきりの方に多くみられる傾向のある病気です。

足根管症候群(ソッコンカンショウコウグン)

くるぶしの内側の後ろ側にある足根管が圧迫されると、足の裏全体(かかとを除く)にしびれを感じます。きつい靴を履いたり、足首を強く刺激するような激しい運動によって起きることが多く、ひどい場合には手術が必要となります。比較的年配の方に多くみられる病気です。

梨状筋症候群(リジョウキンショウコウグン)

腰の神経はお尻の坐骨神経に繋がります。坐骨神経が刺激されると坐骨神経麻痺が起きます。特に仙骨まわりの筋肉(梨状筋)が緊張し坐骨神経を絞めるため、坐骨神経麻痺が起きやすくなります。

体幹のしびれ

腰から上部にあたる胴部分のしびれです。背骨の変形による神経のしびれや胸椎・腰椎などの骨折による後遺症をはじめ、脊髄腫瘍による原因も多くあります。また、ヘルペス(帯状疱疹)後の神経障害によるしびれもよくみられます。

ギランバレー症候群

まれではありますが、脊髄になんらかの炎症が起きることで起きる麻痺です。胴体をはじめ、手足のしびれを感じます。一過性で治るものもあれば残るケースもあります。免疫的な問題が深く関係すると言われており、早期発見・早期治療が非常に重要となる病気です。

Q診察に行くべきタイミングは?

A.気になる症状をお感じの場合や、心当たりのない違和感が数日続いている方などは、早期に整形外科もしくは脳外科・神経内科を一度ご受診ください。
しびれは個人差が大きいだけでなく、とかくご自身で我慢してしまいがちなものです。しかし、悪化すると身体全体の麻痺や日常的な動作に大きな支障をきたす可能性があるものです。早目の受診をおすすめします。

Qどうやって診断するの?

A.まずはしびれる部位やしびれの感じ方を詳しくお聞きし、部分的なしびれなのか体全体に広がるしびれなのかを判別します。
脳神経や脳外科領域の病気が疑われる場合には各専門医をご紹介いたします。実際、日々の診療現場においては糖尿病性の神経障害・血行障害をはじめ、神経内科的な末梢神経障害、脳の病気による麻痺、腫瘍によるしびれなどに悩む患者さんも決して少なくありません。原因を正確に見極め、早期に治療を行うことがとても重要です。

Qどういう治療をするの?

A.しびれの部位や原因によってそれぞれ必要な治療法を選択します。
改善に有効な薬がある場合には薬物治療を行いますが、多くの場合は保存的治療となります。重症の場合には、手術が必要となることもあります。

医学的な定義が実は曖昧な「しびれ」

いつもと違う感覚を感じたら早期受診をおすすめします
「しびれる」という感覚は実は医学的にも定義が曖昧で、人によって感じ方も千差万別です。実際に当クリニックにお越しになられている患者さんの中にも「痛い」という感覚でお越しになられる方も多いです。しびれを感じる部位も手や足といった部分的なものから、広範囲にわたるものまでさまざまです。原因を正確に分析し、早期に適切な治療を行うことが求められます。いつもと違う感覚や違和感を感じたら、無理に我慢することなく一度ご相談いただければと思います。

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