骨壊死
骨壊死とは、骨を養っている血液の流れが何らかの理由で滞り、骨の組織が死んでしまう状態を指します。骨そのものが腐るわけではありませんが、強度が失われるため、日常生活の中でかかる負担に耐えられなくなり、骨がつぶれてしまうことがあります。西宮市の田中整形外科クリニックでは、阪急苦楽園口駅すぐの立地で、高度なMRIを用いた精密な検査体制を整えております。骨壊死は早期に発見し、骨の変形が進む前に適切な対策を講じることが非常に重要です。当院では、専門的な知識を持つ医師と理学療法士が連携し、一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を行っています。痛みや違和感を抱えながらもどこに相談すべきか迷われている方は、ぜひ私たちのクリニックへご相談ください。
骨壊死の症状について
骨壊死の大きな特徴は、発症した直後には痛みがほとんどない点にあります。骨の組織が死んでしまう「壊死」が起こった瞬間には自覚症状がなく、その後の日常生活で壊死した部分が押しつぶされる「圧潰」が始まって初めて、強い痛みを感じるようになります。ここでは、臨床でよく見られる症状のパターンを解説します。
急激に現れる痛み
多くの場合、ある日突然、股関節や膝などの関節周辺に激しい痛みを感じるようになります。この痛みは、壊死した骨が体重を支えきれずに潰れることで発生します。最初は安静にしていれば落ち着くこともありますが、歩行や立ち上がり動作で痛みが強くなるのが一般的です。痛みの詳細は「股関節の痛み」のページでも解説しています。
可動域の制限と違和感
骨の形が崩れていくと、関節の動きがスムーズにいかなくなります。具体的には、以下のような症状が目立つようになります。
- あぐらをかく動作がしにくくなる
- 靴下を履く動作や爪切りがつらくなる
- 階段の昇り降りで関節が引っかかる感じがする
- 膝を完全に伸ばしきれなくなる
歩行の状態(跛行)の変化
痛みをかばって歩くようになるため、足を引きずるような歩き方になることがあります。これを医学用語で跛行と呼びます。片側の関節に骨壊死が起こると、左右の足の長さに差が出たように感じたり、骨盤が傾いて歩行が不安定になったりすることもあります。放置すると腰や反対側の足にも負担がかかり、新たな痛みの原因となるため、早めの受診をおすすめします。
骨壊死の原因について
骨壊死が起こる原因は、大きく分けて「特定の誘因があるもの」と「原因がはっきりしないもの」に分かれます。骨は常に新陳代謝を繰り返していますが、血液が届かなくなると、新しい骨を作る材料が供給されなくなり、構造を維持できなくなってしまいます。
ステロイド薬の使用
膠原病や腎疾患、免疫疾患などの治療で、高用量のステロイド薬を長期間使用したことがある場合に発症しやすい傾向があります。ステロイド薬がなぜ骨壊死を引き起こすのか、その詳細はまだ解明されていない部分もありますが、血液を固まりやすくしたり、脂肪の代謝に影響を与えたりすることが、骨への血流障害に関与していると考えられています。
アルコールの過剰摂取
お酒を毎日たくさん飲む習慣がある方も、リスクが高いとされています。特にお酒の量が多い男性に発症するケースが多く見られます。アルコールが血液中の脂質を増やし、それが骨の中の細い血管を詰まらせる要因の一つになると推測されています。生活習慣の改善については、当院でも丁寧なアドバイスを心がけています。
外傷による血流遮断
事故や転倒などによる骨折や脱臼が原因となることもあります。特に太ももの付け根である「大腿骨頚部骨折」や「股関節脱臼」の後は、骨を養う血管が損傷しやすいため、数年経ってから骨壊死が判明することがあります。外傷後の管理については「骨折・脱臼・捻挫」のページをご覧ください。
特発性(原因不明)
ステロイドの使用歴やお酒の習慣がなく、大きな怪我もしていないのに発症する場合もあります。これらは「特発性」と呼ばれます。体質や遺伝的な要素、あるいは微細な血流障害が重なって起こると考えられていますが、現時点でははっきりとした原因を特定できないことも少なくありません。
骨壊死の病気の種類について
骨壊死は、発生する場所によって病名が異なります。整形外科の領域では、特に体重がかかる大きな関節での発症が問題となります。当院では各部位の精密な診断が可能です。
特発性大腿骨頭壊死症
股関節を形成する太ももの骨の先端「大腿骨頭」に起こる壊死です。厚生労働省の指定難病にも含まれていますが、適切な治療を行えば、日常生活を笑顔で送ることも可能です。進行の度合いや壊死の範囲によって、保存療法か手術療法かを判断します。詳細は「MRI精密検査」のページでの確認が適しています。
特発性膝関節大腿骨顆部壊死
膝関節を構成する大腿骨の下側に起こる壊死です。高齢の女性に多く見られ、急に膝の内側が痛くなるのが特徴です。初期は「変形性膝関節症」と間違われることもありますが、MRIによる精密な検査で判別が可能です。「変形性ひざ関節症」のページも併せて参考にしてください。
キーンベック病(月状骨壊死)
手首にある「月状骨」という小さな骨が壊死する病気です。手首の痛みや握力の低下が現れます。手作業が多い仕事の方や、スポーツをされている方に多く見られます。手首の違和感については「手首・指の痛み」のページで詳しく触れています。
特発性骨壊死の進行分類
骨壊死の状態は、レントゲンやMRIでの見た目によって4つのステージに分けられることが一般的です。
- ステージ1・・レントゲンでは異常が見られず、MRIで初めて壊死が確認できる状態
- ステージ2・・レントゲンでも骨の変化(帯状の影など)が確認できるが、形は保たれている状態
- ステージ3・・壊死した骨が体重に耐えきれず、つぶれて陥没し始めた状態
- ステージ4・・関節全体の変形が進み、隙間が狭くなっている状態
骨壊死の治療法について
骨壊死の治療は、痛みの程度、壊死の範囲、骨の陥没具合、そして患者さんの年齢や活動度を総合的に判断して決定します。当院では「痛みを取る」だけでなく「将来の機能を守る」ための治療をご提案します。
保存的治療(手術をしない治療)
壊死の範囲が狭い場合や、痛みがコントロールできている場合には、まず保存療法を選択します。骨の陥没を防ぐことが最大の目的となります。
- 荷重の制限・・杖を使用したり、体重を減らしたりすることで、関節にかかる負担を軽減します。
- 物理療法・・血流の改善や痛みの緩和を目的とした温熱療法や電気治療を行います。
- 薬物療法・・痛みが強い時期には消炎鎮痛剤を使用します。また、骨粗鬆症が関与している場合は骨を強くする薬を使用することもあります。詳細は「骨粗鬆症の検査・治療」のページを参照してください。
理学療法士によるリハビリテーション
当院が最も力を入れている分野の一つです。関節周りの筋肉を鍛えることで、骨にかかる負担を分散させます。また、関節が固まらないようにストレッチを行い、スムーズな動きを維持します。リハビリの詳細は「当院のリハビリについて」のページをご覧ください。専門の理学療法士がマンツーマンで指導いたします。
PFC-FD療法(再生医療を用いた選択肢)
自分の血液から成長因子を取り出し、関節に注射する先進的な治療法です。関節の炎症を抑え、痛みの緩和を促すことが期待できます。「手術を勧められたが、まだ踏み切れない」という方や、「これまでの治療で十分な効果が得られなかった」という方にとっての新たな選択肢となります。詳しくは「PFC-FD療法」のページをご覧ください。
手術的治療
骨の変形が進み、日常生活に大きな支障がある場合は、手術が必要になることがあります。当院では提携している高度医療機関へのご紹介を行っております。手術後は当院でのびのびとした広々としたリハビリ室を利用し、復帰に向けた訓練を行うことが可能です。
- 骨切り術・・骨の向きを変えて、壊死していない健全な部分で体重を支えるようにする方法です。自分の骨を温存できるメリットがあります。
- 人工関節置換術・・壊死して傷んだ関節を人工のものに置き換える手術です。痛みの改善効果が非常に高く、早期の歩行復帰が可能です。
骨壊死についてのよくある質問
Q1. 骨壊死と診断されたら、将来必ず歩けなくなりますか?
A1. いいえ、必ずしもそうなるとは限りません。壊死の範囲が狭い場合や、体重がかからない場所に壊死がある場合は、生涯痛みが出ないこともあります。早期に発見し、リハビリや生活指導によって関節を保護していくことが、歩行機能を維持する鍵となります。
Q2. 膝や股関節が突然痛くなったのですが、骨壊死の可能性はありますか?
A2. 可能性は否定できません。特に中高年以上の方で、思い当たる怪我がないのに急に激痛が生じた場合は、特発性骨壊死の初期症状であることがあります。レントゲンでは異常が見つからないことも多いため、MRI検査をおすすめします。
Q3. アルコールを控えるだけで、壊死した骨は元に戻りますか?
A3. 残念ながら、一度壊死してしまった骨組織が元の生きている骨に再生することはありません。しかし、禁酒や節酒はこれ以上の悪化を防いだり、反対側の足への発症を予防したりするためには非常に大切です。まずは原因を理解し、進行を抑えることが優先されます。
Q4. 骨壊死の治療中にスポーツは続けられますか?
A4. 骨の状態によります。骨の強度が落ちている時期に激しいスポーツをすると、骨の陥没を一気に進めてしまうリスクがあります。精密な検査の結果を見て、どのような運動であれば安全に行えるか、専門医や理学療法士が具体的にアドバイスいたします。
院長より
骨壊死という言葉を聞くと、「骨が腐ってしまうのではないか」「もう歩けなくなるのではないか」と強い不安を感じる患者さんも多いことと思います。しかし、現代の医療では、早期に発見し、適切な順序で治療を進めていけば、痛みを和らげ、自分自身の足で歩き続けることは決して不可能ではありません。西宮市の田中整形外科クリニックは、苦楽園口駅の目の前という通いやすい場所で、30年以上にわたり地域の方々の健康を支えてきました。
私は日本整形外科学会 専門医として、骨壊死のような診断の難しい疾患に対しても、高度なMRIを活用した精密な診断を大切にしています。当院の強みは、医師と国家資格を持つ経験豊富な理学療法士が「三位一体」となり、患者さんを心理面や生活面からも支える立体的なプログラムを提供できる点にあります。109平方メートルの開放的なリハビリテーション室は、患者さんが前向きに治療に取り組めるよう、明るくゆったりとした空間に整えています。
「このくらいの痛みで受診してもいいのだろうか」と遠慮される必要はありません。むしろ、その「ちょっとした違和感」が早期発見の最大のチャンスです。私たちは、街のおまわりさんのようになんでも相談できる存在でありたいと考えています。夙川や甲陽園にお住まいの方はもちろん、遠方の方も、ご自身の身体の不調に悩まれた際は、どうぞお気軽に私たちのクリニックへお越しください。笑顔で生活できる未来を、一緒に守っていきましょう。
