肩関節脱臼
肩関節脱臼は、肩の関節を構成する骨が本来の位置から完全にはずれてしまった状態を指します。肩は体の中で最も動く範囲が広い関節であるため、非常に不安定な構造をしており、全関節の脱臼の中でも特に頻度が高いことで知られています。当院では西宮市の阪急苦楽園口駅前という立地で、日本整形外科学会専門医および日本整形外科学会認定スポーツ医である院長が、迅速かつ精密な診断を行っております。激しい痛みや肩の変形を伴うこの疾患に対し、私たちは応急処置だけでなく、再発を防ぐための質の高いリハビリテーションを大切にしています。地域の皆様が安心して元の生活やスポーツに戻れるよう、一人ひとりの状態に合わせた丁寧なサポートを心がけています。
肩関節脱臼の症状について
肩関節脱臼が起こると、まず何よりも先に激しい痛みを感じます。関節がはずれた瞬間に「ボキッ」という音が聞こえることもあり、その後は痛みで肩を動かすことが全くできなくなります。痛みのあまり、健康な方の手で痛む方の腕を支えるような姿勢をとることが一般的です。見た目の変化も顕著で、肩の丸みがなくなって平らになったり、肩の下に本来はないはずの骨の膨らみが見えたりします。また、はずれた骨が周囲の神経や血管を圧迫することもあり、手のしびれや冷感、麻痺が生じることもあります。
肩関節脱臼の詳細については「肩関節の痛み」のページを参照してください。
主な自覚症状と外見の変化
- 突然の激しい痛みで腕を動かせない
- 肩の形が角ばったり、凹んだりして見える
- 腕の長さが左右で違って見える
- 肩から指先にかけてしびれや脱力感がある
肩関節脱臼の原因について
肩関節脱臼の多くは、スポーツ中の接触や転倒、交通事故などによる強い外部からの衝撃が原因です。特に腕を後ろに伸ばした状態で強い力が加わったり、肩を強く打ちつけたりした際に発生しやすくなります。ラグビーやアメリカンフットボール、柔道などのコンタクトスポーツのほか、野球やバレーボールのように肩を大きく回す動作を伴う競技でも見られます。また、一度脱臼を経験すると、関節を支える組織が緩んでしまい、日常生活の些細な動作でも脱臼を繰り返すようになる「反復性肩関節脱臼」に移行することがあります。
スポーツによる怪我については「スポーツ障害」のページを参照してください。
脱臼を引き起こしやすい場面
- スポーツ中の衝突や激しい転倒
- 高い所から転落して手や肘を強くついた時
- 重いものを急激に持ち上げようとした瞬間
- 交通事故による大きな衝撃
肩関節脱臼の病気の種類について
肩関節脱臼は、骨がはずれる方向や程度、頻度によっていくつかの種類に分けられます。診断時には、どのタイプに該当するかを判断することが、その後の治療方針を決定する上で極めて重要です。当院では精密な検査を通じて、関節内部の損傷具合まで詳しく確認いたします。
前方脱臼
肩関節脱臼の中で最も頻度が高く、全体の約9割以上を占めるタイプです。上腕の骨が関節の受け皿よりも前側にはずれます。転倒して手をついたり、投球動作のような姿勢で強い力を受けたりした際に起こりやすいのが特徴です。
後方脱臼
上腕の骨が後ろ側にはずれるタイプで、前方脱臼に比べると非常に稀です。スポーツでの転倒や、強い痙攣、感電などの特殊な状況で発生することがあります。見逃されやすい脱臼としても知られており、精密な画像診断が必要です。
下方脱臼
腕を真上に上げた状態で強い力が加わり、骨が下の方へ抜けてしまう状態です。非常に珍しいケースですが、周囲の組織へのダメージが大きくなる傾向があります。
反復性肩関節脱臼
初めての脱臼の際に、関節の縁にある「関節唇」という軟骨組織が剥がれたり、骨が欠けたりすることで起こります。これらが適切に修復されないと、寝返りや服を着替えるといった日常生活の軽い動作でも、何度も脱臼を繰り返すようになってしまいます。
肩関節脱臼の治療法について
治療の第一段階は、はずれた骨を元の位置に戻す「整復」です。その後、損傷した組織が修復されるまで適切に固定を行い、徐々にリハビリテーションを進めていきます。当院では、単に痛みを取るだけでなく、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医の視点から、再発しない体作りを強力にバックアップします。
整復と固定
骨を元の位置に戻す処置を整復と呼びます。無理に自分で戻そうとすると、筋肉や神経をさらに傷つける恐れがあるため、必ず専門の医療機関で行う必要があります。整復後は、三角巾や専用の装具を用いて数週間ほど肩を固定し、損傷した関節包や靭帯の回復を待ちます。
精密検査による評価
脱臼時には、骨だけでなく関節唇や腱板などの軟組織を損傷していることが多いため、レントゲン検査に加えてMRI検査が非常に有効です。当院ではMRIを活用し、目に見えない損傷まで精密に診断します。
詳しい検査については「MRIによる診断」のページを参照してください。
リハビリテーション
固定期間が終わった後は、硬くなった関節の動きを改善し、肩を支える筋肉を鍛えるリハビリテーションを行います。理学療法士がマンツーマンで、インナーマッスルの強化や正しい肩の使い方を指導し、スポーツ復帰や再発防止を目指します。
当院のリハビリについては「リハビリテーション」のページを参照してください。
PFC-FD療法(再生医療)
脱臼に伴う関節の痛みや違和感が長引く場合、ご自身の血液から抽出した成長因子を利用する先進的な治療の選択肢もご提案しています。組織の修復を促す効果が期待できるため、手術を避けたい方や早期復帰を目指す方に適しています。
詳細は「PFC-FD療法」のページを参照してください。
肩関節脱臼についてのよくある質問
Q1. 肩がはずれましたが、自分で入れても大丈夫ですか?
A1. 決してご自身で無理に戻そうとしないでください。自己流の整復は、骨折を併発させたり、神経や血管を傷つけたりする大きなリスクがあります。また、中途半端な整復は将来的に脱臼を繰り返す原因にもなります。速やかに整形外科を受診してください。
Q2. 脱臼した後は、いつからスポーツに戻れますか?
A2. 損傷の程度や競技種目にもよりますが、一般的には数ヶ月のリハビリ期間が必要です。無理な早期復帰は再脱臼の確率を大幅に高めてしまいます。当院では競技特性に合わせた復帰プログラムを作成し、段階的なトレーニングを指導いたします。
Q3. 手術をしないと治りませんか?
A3. 初回の脱臼であれば、多くの場合は保存的治療(手術をしない治療)で改善を目指せます。ただし、若年層で再発を繰り返す場合や、スポーツへの高いレベルでの復帰を希望される場合は、関節唇を修復する手術が検討されることもあります。まずは精密な検査で状態を把握することが大切です。
院長より
肩関節脱臼は、その瞬間の痛みもさることながら、その後の「また外れるのではないか」という不安が患者さんの生活の質を大きく下げてしまう疾患です。私は、日本整形外科学会専門医として、そしてスポーツ現場に深く関わる認定スポーツ医として、多くの脱臼患者さんと向き合ってきました。私たちのクリニックでは、単に骨を戻すことだけがゴールではありません。西宮の地で30年にわたり培ってきた経験と、理学療法士との密接な連携による「三位一体のケア」で、再び自由に肩を動かせる喜びを取り戻していただくことを目指しています。阪急苦楽園口駅からすぐの場所にあり、MRIなどの高度な設備も整っておりますので、肩の不安を抱えている方はどうぞ遠慮なくご相談ください。街のおまわりさんのように、あなたの体の安全を全力で守ります。
