ばね指
朝起きたときに指が曲がったまま伸びにくい、指の付け根を押さえると痛みがある、といった症状でお困りではありませんか。それは「ばね指」と呼ばれる疾患かもしれません。西宮市の阪急苦楽園口駅前にある田中整形外科クリニックでは、こうした指のトラブルに対して、日本整形外科学会専門医による丁寧な診察と、国家資格を持つ理学療法士による専門的なリハビリテーションを提供しています。
ばね指は、指の使いすぎが主な原因で起こる腱鞘炎の一種です。悪化すると指が完全にロックされて動かなくなることもありますが、適切な時期に治療を始めることで、スムーズな動きを取り戻すことが期待できます。当院では「街のおまわりさんのようになんでも相談できるクリニック」として、苦楽園や夙川、甲陽園にお住まいの皆様の健康をサポートし、痛みの出にくい身体作りを目指す予防医療にも力を入れています。
ばね指の症状について
ばね指の症状は、初期段階では軽い違和感から始まりますが、進行するにつれて日常生活に大きな支障をきたすようになります。私たちが日々の診察でよくお聞きする症状を、進行度に合わせて整理しました。
初期に見られる症状
最初は、指の付け根に軽い痛みや不快感、腫れを感じることが多いです。特に手のひら側の指の付け根(関節の少し手前)を押さえると痛みを感じるのが特徴です。
- 朝起きたときに指がこわばっている感じがする
- 指の付け根の関節付近が重だるい
- 指を動かすときに、なんとなく引っかかるような感覚がある
中期から後期に見られる症状
進行すると、指を伸ばそうとしたときに「カクン」と跳ねるような動作が起こります。これが「ばね現象」と呼ばれるもので、強い痛みを感じることもあります。
- 指を曲げた後、自分の力だけでは指を伸ばせなくなる
- 反対の手で介助しないと指が伸びない
- 指を伸ばす際に「バチン」と音がするような感覚を伴う
- 指が完全に曲がったまま、あるいは伸びたまま固まってしまう
詳細な手のトラブルについては、当院の「手の痛み」のページもあわせて参照してください。
ばね指の原因について
ばね指の本態は、指を動かすための「屈筋腱」と、その腱が浮き上がらないように押さえている「腱鞘」の間で起こる摩擦と炎症です。なぜこのような状態になってしまうのか、代表的な原因を解説します。
手指の使いすぎ(オーバーユース)
最も多い原因は、仕事や趣味での手の使いすぎです。キーボード操作やスマートフォンの長時間利用、グリップを強く握るスポーツ(ゴルフやテニスなど)を続けていると、腱と腱鞘が常にこすれ合い、炎症が起きて腱鞘が厚くなったり腱が腫れたりしてしまいます。
ホルモンバランスの変化
更年期や妊娠・出産後の女性にばね指が多く見られることから、女性ホルモンの変化が深く関わっていると考えられています。ホルモンの影響で腱鞘の弾力性が低下したり、組織がむくみやすくなったりすることで、腱の通り道が狭くなってしまうのです。
持病や体質との関係
特定の疾患をお持ちの方は、ばね指を併発しやすい傾向があります。
- 糖尿病・・組織が硬くなりやすく、炎症が治りにくいため、多発したり再発したりすることがあります
- 関節リウマチ・・腱鞘そのものに炎症が起こりやすいため、指の動きに制限が出ることがあります
- 透析を受けている方・・アミロイドという物質が沈着することで、腱鞘が厚くなることがあります
関節リウマチが気になる方は「関節リウマチ」のページを詳しくご覧ください。
ばね指の病気の種類について
ばね指は医学的には「狭窄性腱鞘炎」と呼ばれます。指の場所や状態によって、いくつかのパターンに分けられます。
発生する部位による違い
ばね指は親指、中指、薬指に多く発生する傾向がありますが、どの指にも起こり得ます。
- 親指のばね指・・物をつまむ、握る動作で負担がかかりやすく、付け根が痛みます
- 中指・薬指のばね指・・家事やパソコン作業などで繰り返し使われることで発症しやすい部位です
- 多発性ばね指・・複数の指に同時に、あるいは時期をずらして次々と発症するケースです
進行度(グレード)による分類
治療方針を決定する上で、指の動かしにくさがどの程度かを確認します。
ステージ1. 痛みのみ
指の付け根に痛みや圧痛がありますが、まだ引っかかり現象(ばね現象)は出ていない状態です。
ステージ2. 引っかかりがあるが自力で伸ばせる
指を伸ばす際にカクンとしますが、自分の筋力だけで伸ばしきることができる状態です。
ステージ3. 引っかかりがあり自力では伸ばせない
指が途中で止まってしまい、反対の手で助けてあげないと真っ直ぐにならない状態です。
ステージ4. 関節の拘縮
長期間の炎症により関節そのものが固まってしまい、他動的に動かしても指が伸び切らなくなった状態です。この段階になると、回復に時間がかかることがあります。
ばね指の治療法について
田中整形外科クリニックでは、患者さんのライフスタイルや指の状態に合わせて、まずはメスを入れない保存療法から検討します。
安静と薬物療法
初期の段階では、なるべく手を使わないように安静を保つことが大切です。
- 外用薬・・消炎鎮痛剤の貼り薬や塗り薬を使用して、炎症を鎮めます
- 装具療法・・指が曲がりすぎないように添え木やサポーターで固定し、強制的に安静を作ります
腱鞘内注射
痛みが強い場合や、引っかかりが改善しない場合は、腱鞘の中に直接ステロイド薬と局所麻酔薬を注入する注射を行います。強力に炎症を抑えるため、即効性が期待できます。ただし、何度も繰り返すと腱がもろくなるリスクがあるため、回数や間隔については専門医が慎重に判断します。
リハビリテーション
当院が最も力を入れている治療の一つです。109平方メートルの広々としたリハビリ室で、理学療法士がマンツーマンで指導を行います。
- ストレッチ指導・・硬くなった腱や筋肉をほぐし、スムーズな滑走を促します
- 生活動作の改善・・指に負担をかけない「手の使い方」をアドバイスし、再発を予防します
- 物理療法・・超音波治療器などを用いて、組織の血流を改善し、炎症の回復を早めます
当院のリハビリの詳細は「リハビリテーション」のページで紹介しています。
再生医療(PFC-FD療法)
従来の治療で効果が不十分な方や、手術は避けたいという方への選択肢として、ご自身の血液から抽出した成長因子を利用する再生医療(PFC-FD療法)も提案しています。組織の修復を促す成分を患部に注入することで、慢性的な痛みの改善を目指します。
詳しくは「PFC-FD療法」のページをご覧ください。
手術療法(腱鞘切開術)
保存療法を続けても改善が見られない場合や、指が完全にロックされて動かない場合には、手術をお勧めすることがあります。厚くなった腱鞘の一部を切り開くことで、腱の通り道を広げる手術です。小さな切開で済むため、日常生活への復帰も早いのが特徴です。
ばね指についてのよくある質問
Q1. どの指に多いのですか?
A1. 親指、中指、薬指に多く見られますが、すべての指で起こる可能性があります。複数の指が同時になることもあります。
Q2. 手術をしないと治りませんか?
A2. 多くの方は保存療法(安静、注射、リハビリ)で症状が緩和されます。無理をして使い続けると悪化して手術が必要になることもあるため、早めの受診が大切です。
Q3. マッサージは効果がありますか?
A3. 炎症が強い時期に自己流で患部を強く揉むと、かえって症状が悪化することがあります。専門家が指導する適切なストレッチを行うようにしましょう。
Q4. 糖尿病があると治りにくいのですか?
A4. はい、糖尿病の方は炎症が長引きやすく、注射の効果も限定的になる傾向があります。血糖値のコントロールと並行して治療を進めることが重要です。
院長より
田中整形外科クリニック院長の田中寛樹です。私は日本整形外科学会専門医として、これまで数多くの「ばね指」でお悩みの患者さんと向き合ってきました。指の痛みや引っかかりは、お料理や洗濯、仕事でのパソコン操作など、日常のあらゆる場面でストレスになりますよね。
当院では、単に痛みを取るだけでなく、「なぜその指に負担がかかってしまったのか」という原因を突き詰め、再発させない身体作りを大切にしています。国家資格を持つ理学療法士チームと連携し、観察、仮説、評価というサイクルを通じて、一人ひとりに適したリハビリプログラムを作成します。
西宮市の苦楽園口駅前という通いやすい場所で、丁寧な診断と充実した設備を用意してお待ちしております。指の違和感くらいで受診してもいいのかな、と迷われる必要はありません。その小さな違和感のうちに対処することが、未来の自由な動きを守る予防医療につながります。どうぞお気軽にご相談ください。
指や手首の痛みについては「手首・指の痛み」のページでも解説しています。
